フォントの名は。
こんにちは!Shunichi(@s1hsgw)です。
先日、絶賛公開中の「君の名は。」を見てきました。
息を呑む映像美。
RADWIMPSの音楽。
衝撃のクライマックス。
語りたい点は沢山ありますがまだ見ていない方のために極力ネタバレしたくないのと、
そういった感想やレビューはすでに多くあるだろうということで、
今回は個人的に一番印象に残っている点について少し違った観点でお話ししたいと思います。
僕が本作品中一番気に入ったのは、オープニングとエンディングでそれぞれ「君の名は。」というタイトルが大きく表示されるシーンです。
公開前から予告などを見て、この映画のロゴにはどこか惹きつけられるものがあるなと感じていたのですが、
映画館の大きなスクリーンに映し出されたあのカットを見てなおさら好きになりました。
帰宅後、僕は作品の余韻に浸りながら「なぜ」を考えていました。
なぜ、このタイトルに目を奪われたのだろう、と。
そこで僕はその理由を探るべく、タイトルに使われていたフォントを調べてみました。
まだ会ったことのないフォントを、探して。
...
その結果、使用されていたのは「モリサワA1明朝」というライセンスフォントだと判明しました。
そして、モリサワの公式サイトを見てみると、
「A1明朝」は、モリサワ最初期から長く愛されているオールドスタイルの明朝体です。漢字のゆったりとしたカーブと、かなの優美な表情が生み出す独特の味わいが特徴です。デジタル書体化にあたって、画線の交差部分に写植特有の墨だまりを再現するなどし、やわらかな印象と自然な温かみを感じさせる新しい書体として生まれ変わりました。
A1明朝 | 書体見本 | モリサワのフォント | 株式会社モリサワ
とあり、通常の明朝体にはない「墨だまり」が施されている事に気づいたのです。
そして僕はこの時、墨だまりによって演出される情緒と作品の儚げな世界観がとてもマッチしていることが この作品のロゴに一目惚れした理由だったのだな、と納得しました。
非常に些細な点ですが、これがもし「墨だまり」のない他のフォントだったらここまで印象に残らなかったのではないかと思います。
そう考えると文字から伝わる雰囲気に大きく影響するフォントのパワーは侮れないなと改めて感じました。
こんなところでも使われていた。
それから僕はこのフォントにどこかで出会ったことがあるような気がして、
他の作品でも使われていないかも調べてみました。
すると、思いがけないことにこれまで僕が視聴してきたいくつかのアニメ作品のタイトルにも使用されていたのです!
ここでは個人的に驚いた2つを紹介します。
まずこちらの作品。
一部血のような加工が施されていますが、ベースはモリサワA1明朝です。
ここでは墨だまりが作品の恐怖感をうまく演出しています。
同じフォントでも全く違った表情に見えて面白いですね。
それから面白い発見があったのはこの作品。
TVアニメ「僕だけがいない街」 (@bokumachi_anime) | Twitter
こちらも同じフォントが使用されているのですが、
実はそれだけではありませんでした。
タイトルの前半と後半をじっくり見比べてみてください。
お気づきでしょうか?
そうなんです。
前半は明朝体、後半はゴシック体になっているのです。
前RT、TLに居たフォントマニアが休業中なので無粋だけど若干解説。具体的には添付参照。気付く人は「おおっ!」と思うし、気付かなくても文字列をしばらく眺めていると「なにか変だなこのロゴ…」と違和感を持つ仕組み。この仕掛けは見事だなー。 pic.twitter.com/uwx2xsOMte
— たられば (@tarareba722) 2016年3月25日
つまり、
明朝体・ゴシック体「私 / 俺たち入り混じってる!?」
ってなわけです(笑)
ちなみにアニメのサブタイトルにもさらなる秘密が隠されているようなので、
気になる方はぜひ調べてみてください。
作品の内容を知っている方なら思わず「ハッと」なるはずです。
おわりに
たかがフォント、されどフォント。
「君の名は。」をきっかけにフォントの奥深さに気づきました。
そして、日常の風景がまた少し違って見えるようになりました。
たとえば毎日何気なく歩いている街中や大学で目にするポスターたち。
大半は気にも留めませんが、中にはいくつか目を引くものがあります。
なんでだろうと思って近づいてみると
他にはないさりげない工夫が施されていたりする...
人が良いと感じるものにはちゃんと理由がある。それを再認識しました。
僕自身もそのことを忘れずに、デザインしていきたいなと思います。
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*本記事で使用した画像は以下のサイトから引用しました。